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「汐汲」(長唄)

今日から「汐汲」のお稽古が始まりました。
ネットで調べても歌詞が出てこなかったので、先生にお尋ねし、
手のひらサイズの長唄全集をお借りしました。
↓先生が若いころ古本屋で買い求めたものだそうで、かなり年代物です。
「汐汲」(長唄)_c0029140_20141066.jpg

目次があいうえお順ではなく、いろは順でした。
旧仮名遣いとにらめっこしながら、歌詞を書き出してみました。
23分の挑戦です。
「汐汲」(長唄)_c0029140_20154569.jpg

「汐汲」
松一木かわらぬ色のしるしとて うつし絵島の浦風に

ゆかしき つてをしら波の よする渚に世をおくる
如何にこの身が海士じゃと云うて 辛気しんきに袖濡れて
いつか嬉しき逢瀬もと 君には誰かつげのくし
さし来る潮を汲もうよ
汲み別けて 見れば月こそ桶にあり
是にも月の入りたるや
月は一つ 影は二つ三つ見られつも
雲の上此処は鳴尾の松影に 月を荷うて

見渡せば面白や なれても須磨の夕まぐれ
漁る船のやつしつし 波をけたてて友呼び交わす
浜千鳥の散りやちりちり 散りやちりちり 
ちりちりぱっと 鹽屋の煙さえ
立名いとわで 三年はこごに 須磨の浦わの松の雪平立ち帰りこば
我も小陰にいざ立ちよりて 礒馴松のなつかしや
遺物こそ 今は仇なれ見初めてそめて

逢うた其の時や つい転び寝の帯も解いでそれなりに
二人が裾へ狩衣を 掛けてぞ頼む睦言に

可愛がらすの何じややら 泣いて別りよか
笑うて待つとか待たば こんとの約束を
忘るる暇はないわいな
それから深う云かわしまの 水も漏らさぬ中々は

濡れによる身は傘さして御座んせ 人目せきがさ何時あうがさと
ほんに指折り其の日からかさ まつに長柄の辛気らしそれそれ
気を紅葉傘 白張りの殿子に操たてがさの 相合傘の末かけて
誓文真実つまおりがさと云われたら 思いも開く花傘しおらしや 

いとま申して帰る波の音の
須磨の浦かけて 村雨と聞きしも今朝見れば
松風ばかりや残るらん
松風の松風の 噂は世々に残るらん

by maro-.-mayuka | 2011-06-19 20:09 | 日本舞踊